2017年7月28日金曜日

8月の予定

当院の8月のスケジュールです。
4日(金) 劉先生 休診
12日(土) 土曜通常診療
14~16日 夏休み休診 
17日から通常診療です。
26日(土)東文健康サロン 中医によるセルフケア~女性の疾患~

8月の徐文波先生のカウンセリングの予定は現在ございません。

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気が落ち込む

気が落ち込むことは、冬であったり、5月病の時期であったりする事が多い。しかし、今のような晴れ間が出ずに、雨が降りそうな天気の時でも気持ちが落ち込む事がある。
気が落ち込むと、やる気が起きず無気力になり、布団から出られなくなり、自殺念慮まで起きる時がある。

この時期の気の落ち込みを「中医」してみた。

やる気が起きない、行動が出来ない、思考がネガティブは、中医的に考えて見ると、「陰」に属する。「ちょっと陰気臭くない?」の「陰」である。「陰」は水であり、静的・女性的・月・地などを象徴する。人は、本来陰陽のバランスが調和して拮抗し合う事で健康的に保たれる。

気の落ち込みでは、陰へのバランスの偏在があり、「陰盛」の状態が起きてしまっている。陰が強ければ、陽を抑えてしまう事になる。つまりは、たき火を大量の水で消すような状態になる。その火に当たる臓腑は心であり、血液と関係したり精神活動にも影響を与える指揮官である。その指揮官が働かないのはよろしくない。

もともと冷え性などを持っている人や、胃腸の弱い人は体に冷えや湿気を溜め込みやすくなる。なおかつ、この時期は湿気が多く日が差し込まない事から、体は余計に水分を溜め込むので火を消し去ってしまう。その為に気の落ち込みが起きる。

今年のこの時期に起きる気の落ち込みを解消するには、少し辛味のあるものを食べ、豆類やお茶類を飲んで余計な水分を出し、生姜を取り温めて体内の太陽として湿気を蒸発させる。暑い時期は自然に心の火は戻るので、まずは余計な水分をなくしていく事がポイントになる。

すこし荒技だが、クーラーを強めにして除湿機をかけるだけでも気持ちが軽くなる。

気持ちと湿気と体重だけは重いのは嫌ですね。おあとが・・・





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2017年7月25日火曜日

湿邪(しつじゃ)にやられるんじゃ。

気温がお暑くなっておりますが、皆様は夏バテにならずお過ごしでしょうか?

この時期は、暑湿という暑さと湿気を兼ねた時期です。体が重だるくて、食欲も低下して、お腹にも重さがでます。暑さもそうですが、湿気(湿邪)によってだいぶ体がやられます。

こんな時期には冷たいビールを!!と、言いたい気持ちは大いに理解できますが、なるべく控えていただきたいものです。体内温度が40℃近い状態で、10℃くらいの冷たい飲食を取った日には、消化酵素も働かないわ胃の動きが悪くなるわで、そりゃ体の不調もおこしますわ。

中医では胃腸の機能が低下すると、湿気が体の中に溜まり、なおかつ外気の湿気を受けると二重苦になってしまいます。湿気が溜まったまま秋を迎えてしまうと、痰が絡むような咳や下痢などを起こしやすくなります。
そんな予防をするためにも、中国には「三伏」の習慣がありました。肺・背中・お腹を温めて冬に向けて養生しましょうという内容です。こちらの「三伏」で簡単に説明しています。

他にも、湿気を取り除くためにハト麦を使ったり、お腹を温めて水分の代謝を高めるために、ショウガを使ってみることも大事ですよ。秋のためにね。

絵は湿邪にやられたの図です。 
湿邪に負けたくないあなたは、漢方をどうぞ。

2017年7月11日火曜日

第6回東文健康サロン 中医によるセルフケア~頭痛~

中医の知識をマナんで、セルフケアをデキるようになりませんか?
今回のテーマは頭痛です。

漢方・おきゅう・あんまなどの知識から、頭痛のセルフケアをみんなでマナんでデキるようにします。

日時:7月22日(土)16:00~17:30
場所:東文中醫クリニック・新橋内にて
参加費用:1,000円
講師:田口 眞寿美 院長   
   伊藤 岳 副院長 中医師
   劉 栄 先生 中医師

おきゅうも使うので、ニオイが付く可能性がありますので、ご了承ください。

お申し込みは当院受付までお電話ください。 03-6268-8582

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2017年7月10日月曜日

お灸の話3

お灸の効用と実際

灸には体に直接据えるもの、生姜や何かしらを間に挟む間接的な灸などがある。その効果は艾葉とほぼ同様であり、補うことに重点を置くとされる。ただし、著しく脱水の激しい人や月経の最中や月経後すぐ、妊婦さんには向かない。熱性がある事から、水分が奪われる状態や本来ならば固定すべきである妊娠時に気を動かすことは堕胎に繋がるとされているからだ。なので、妊婦さんの場合は安定期にお灸を始める事をお勧めする。また、足の小指に灸をすえることで、逆子が治ることもよく知られている。


また、「Moxafrica(モクサアフリカ)」というアフリカの結核患者に対し、お灸を使い治療をするチャリティー団体がある。モクサアフリカの資料によると、お灸を使うことで免疫系細胞が増加し、感染力が低下することを示唆したデータもある。アフリカでの結核治療は日本の医師・原志免太郎氏の論文を基に行われて、原氏自身も毎日、足三里に灸をすることで108歳の長寿であった。足三里と言えば、松尾芭蕉も奥の細道における旅の出先で灸をすえた場所でもある。


お灸の話2


モグサの品質

上の写真は、「棒灸」と呼ばれる種類の灸だが、その断面を見ても違いは明らか。黄金色をする上質な加工を経たものと、黒いボサボサがあり雑物が混ざる等級の低いもの。実際の点火でも前者は優しく心が落ち着く香りがあり灰が落ちにくく、後者は焼き焦げた中にモグサの焼ける匂いがあり、灰が前者と比べ散りやすい。等級により、直接肌にすえるもの間接的に使うものなど用途が変わる。

ヨモギがモグサになるまで

せんねん灸のセネファさん主催の、セルフケアサポーター講習を受けた。鍼灸師が大衆の方々にどのようにお灸と触れてもらい、セルフケアがいかに大事かを伝える教室を開催するための内容である。その一環として、実際に銀座にあるせんねん灸で行われている教室を体験することが出来た。




教室では実際に、ヨモギからモグサへの加工を体験が出来る。乾燥したヨモギをホットプレートで温め加熱加工をし、すりこぎと鉢を使い、網などで雑物を取り除きながらフワフワになるまで擦ると言う加工を辿る。
実は、専門学校時代にもモグサを作る体験型授業はあった。然し乍ら、その加工の際に雑物の粉塵被害に遭い、数日の間は咳が止まらなかった事は皆さんの想像に難く無いと思う。
その作業を知っている為に、説明をしながらすり鉢をするせんねん灸の社員の皆さんにはこうべを垂れるしかなかった。





せんねん灸さんでは、新潟にある工場で上記の加工を行なっている。なお、ホットプレートやすり鉢は使わない。スリコギ・すり鉢の代わりに、それぞれ目の細かさが異なる70センチほどの石臼が3台稼働しているとのこと。ついでに、火力乾燥・粉砕・臼仕込みという作業は、日本でしか行われていないので、日本のモグサは雑物が少なくとてもきれいに仕上がる。

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お灸の話1

ここで問題、この2種類の生薬は何でしょうか?

左はヤクモソウ(益母草)、右はガイヨウ(艾葉)。両方とも血に働く生薬である。
艾葉とはヨモギであり、最近ではめっきり出番が少なく和菓子屋やパン屋でヨモギ餅やヨモギパンなどの形で見かけるくらいである。艾葉が加工を経ることで、お灸で使われるモグサとなる。今回はヨモギ・モグサにまつわるお話をしよう。

ヨモギ・モグサの薬効

ヨモギは6月〜7月に採集される。『名医別録』で初見としており、中医生薬学では温経止痛、散寒調経、安胎を効用としている。訳して言えば、体を温めて冷えを取り痛みを抑えて、月経を調整し、妊娠時の胎児を安定させること。『名医別録』では「百病に灸する。煎じて下痢・吐血・陰部の出来物、婦人の不正出血、陰気を整える、肌の代謝の向上、風邪の予防、不妊」、「生は冷やし、熟せば温める。血便・鼻血・膿血痢は煎じたり、散薬にする。」とある。つまりは、血や婦人科に関する疾患では多く使われる生薬である。



科学的な効果の由来は、チネオールにある。葉の裏にある腺毛に精油成分であるチネオールがあり、そのチネオールにより温熱の効果が期待出来るとされている。

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もうすぐ三伏

中国の養生「三伏」の考え

さて、中医では「冬病夏治」という言葉があり、冬の病は夏に治すと言う意味である。また、「三伏」と言う言葉がある。これは、夏至・小暑・立秋以降の「庚の日」を基準として、夏の盛んになった熱を秋に向けて抑えさせる時期である。一般的には夏至から3回目の庚の日を「初伏」。4回目を「中伏」、立秋後の最初の庚の日を「末伏」としている。
上記のように夏至・小暑・立秋の説があるが、何れにせよ夏至以降を基準と考えている。夏至は名の通り「夏の至り(極み)」であり、夏至以降は体内の陽気はお腹を暖めるため下降していく。

2017
初伏 712
中伏 722日(大暑)
末伏 811

これらの日を目処に、背中や胸にお灸などをする三伏灸や白芥子・細辛・甘遂・延胡索などを使った三伏貼などを使い、背中や胸を温めることで秋の涼やかな気が、一気に体に入らないようにする。秋口や冬に喘息や咳の出やすい人は有効である。

私見三伏

三伏は夏の盛の時期で毛穴が開き汗がでて陽気が行き渡る。その状態を高め陽気を補う事で正気(免疫力)を高めて臓腑の機能を調整すると考えられている。
いまいち納得いく様ないかないような説明である。

三伏とはこう考える。
夏至は夏の盛りの頂点であり、その気は落ち着いて涼しくなっていく。
自然界では大気圧が疎から密へと向かう。気圧は密であれば寒く、疎であれば暖かく、冷えたエアコンのついた部屋の窓を開ければ熱風が入り、暖房の効いた部屋には冷たい風が吹き込む。これは密の気圧が疎へと向かう為に発生する。気圧が等圧になろうとする為、風が起きる。
人は小宇宙であるとする整体観念を持つ中医に於いては、当然然るべきして自然の法則に従う事になる。

つまりは、秋にかけて外気が涼しくなるが、体内は十分に熱が残る。その為に冷涼な外気が体内へと流れ込むと、多くの疾患を生む事になる。三伏では、温める事で体内が急激に冷えることを緩和させる事で、病気の予防に詰めていたのではないかと考えられる。


この時期は、暑くとも秋へと向かう過渡期でもあるので、秋冬の養生をいまのうちから始めようではありませんか!