2019年1月24日木曜日

体を根本から治す!!って何?

中医師の伊藤です。
あなたは、「漢方薬や鍼灸は根本から病気を治す!!」といったパワーワードを聞いたことはありますか?漢方に興味のある人ならば、1度は聞いたことのある言葉だと思います。今回は、体を根本から治す事について書いていきます。

「病気の全部には原因があるから、それを取れば病気って治るんでしょう。」
おおよそ正解ですが、ここでは漢方薬と鍼灸のエキスパートとして、それっぽい言い方をしましょう。
「病気を治すには、その根本を求める。しかし、場合によっては自己認知的に顕在化した症状を先に取る、ないし同時に取ることも必要。」です。実はそう考える「標治(ひょうち)・本治(ほんち)」という概念があります。

標治・本治

標治・本治は「標本」を治すことから、そのように呼ばれます。ただし、標本ではあっても箱の中にピンで刺された虫でなどの標本でありません。標は、道しるべや目標などのように現れている状態を指します。本は標を起こす根本となる原因です。
例えば、風邪をひいてクシャミ・鼻水・熱・セキ・タンなどは、「標」であり、その根本は軽度の免疫低下により体表レベルに風寒という邪気の侵入にあります。

本治を行うことは、病気を治すことだけではなく「病気の予防のキー」にもなります。体に何かしらの症状があり、その症状だけを取り除き根本の原因が残っていれば、症状の再発や新た症状の発症原因となります。

本治は、漢方薬をより効きやすく、効果が持続しやすくするためメリットにもなります。そのため、場合により2種類以上の処方などが合わさり、標本兼治つまりは標本を同時に治す方法がとられます。

また、急性な症状であったり、食欲低下や胃もたれでカゼ引いたなんてときは、標治をメインすることがあります。これは、本の部分である体の内部に邪気を持ち込まないためです。

なんとなくお察しいただけた方は、西洋医学のアプローチは標治が比較的多い傾向が見られることに気づかれたかと思います。そして、中医漢方や鍼灸の治療のアプローチでは、根本の原因を調整する事と単数ないし複数に出ている自己認知的に顕在化した症状を改善させることにあります。
薬を飲んでいて「この薬って合うかも~」は、そんな本治の薬かもしれませんね。

当院のホームページはこちらです。


0 件のコメント:

コメントを投稿